胚培養士を知っていますか?
「胚培養士」を知っていますか?
不妊治療を考えたことがある方なら、聞いたことがあるかもしれませんね。
胚培養士とは、生殖補助医療(不妊治療)の現場で子どもを望む人の精子と卵子を扱う技術者の名称です。
大げさではなく、患者さんの人生を預かるともいえるこの仕事。
実は臨床検査技師がなることも多いのです。
増える一方の不妊治療・体外受精の裏で、大切な仕事だけどあまり知られていない胚培養士。
そんな胚培養士が主人公の漫画があります。
絵も美しいこちらの作品。
おかざき真里さんの「胚培養士ミズイロ」です。
今回はこちらの作品を、感想をまじえつつご紹介します!
※臨床検査技師(細胞検査士)が活躍する漫画が気になる人は、こちらの記事をどうぞ!!
読むきっかけになったポイント3つ
①臨床検査技師の進路のひとつでもある
「胚培養士」という国家資格はありません。
臨床検査技師資格取得後や、大学の農学部・医療技術学部等を卒業した後に高度生殖医療(体外受精・顕微授精・胚移植)を行っている病院やクリニックに就職し、修練を積みながら「胚培養士」の認定資格取得を目指します。
実際、臨床検査技師の求人情報サイトでは「胚培養士」の募集もたびたび見かけます。
②自分自身、体外受精で娘を授かった
これが一番大きな理由かもしれません。
私は41歳の時に、体外受精で娘を授かりました。
採れた卵子や受精卵の情報は胚培養士さんから聴くシステムのクリニックだったので、それはそれはお世話になりました…。(ぶっちゃけ、話の途中で号泣したこともあるよ…)
③そもそもおかざき真里さんの作品が好き
実は20年来のおかさき真里さん作品のファンです。
美しくて繊細な絵と、心理描写の虜。
ドラマ化や映画化した作品もあるので、知ってる方も多いかと思いますが…働く女性の心の機微から女子高生のまぶしさ、果ては最澄と空海を主役に据えた歴史ものまで幅広く描いてらっしゃいます!
勝手に、おすすめ作品貼っておくね!!
というわけなので、そりゃあ読むよね!
あらすじと2巻まで読んでの感想
漫画「胚培養士ミズイロ」とは
主人公は胚培養士の水沢歩(みずさわ あゆむ)。
少年のような容姿ですが、上司から「一連の動作が細胞の為に最適化されている」と評されるほどの凄腕胚培養士の女性です。
卵子と精子と言う小さな命を自らの手でつなぐ胚培養士。
そして不妊治療のためにクリニックを訪れる男女の物語が、細かな心情表現と詳細な現場描写で描かれています。
医療技術者としても不妊治療経験者としても、リアルを感じる医療ドラマです。
※画像は作品の第1話より
こんな人に読んでほしい!
子どもをのぞむ夫婦
不妊の原因の半数は男性にあると言われています。
にもかかわらず、やはり負担がかかるのは女性であり、男性は自分がクリニックに通うことまでは考えないことが多いのが現状です。
そんな中、実はこの「胚培養士ミズイロ」は男性向け週刊誌「ビッグコミック スピリッツ」で連載しています。
この意義は大きい!
しかも監修を務める石川智基医師は男性不妊治療の第一人者!!
実際、2巻から始まるmicro TESE(マイクロテセ)と呼ばれる精巣内精子採取術 の手術シーンは、その描写も患者の心情もリアルすぎてページをめくりながら動悸がするほど……! 男性が読んだら、もっと怖いだろうな…。
子どもを望む女性だけでなく、男性にもぜひ読んでほしい漫画です!
臨床検査技師や技師をめざす学生、医療系に興味のある大学生・高校生
胚培養士である歩たちが、高校の生徒たちに生殖医療の授業をするエピソードがあります。
その授業を受けた女子高生が、ある理由から歩に自分の卵子を凍結保存してほしいと申し出ます。
その理由とは……
「胚培養士ミズイロ」は医療ドラマであると同時に、お仕事漫画でもあります。
胚培養士は臨床検査技師がなることも多いですが、同時に理系で医学や繁殖について学んだ人も多くいます。
にもかかわらず、私は高校生の頃はおろか、臨床検査科の学生だった頃も「胚培養士」という仕事を知りませんでした…。
作業は細かく失敗は許されない……人の命の最初の最初に関わる大事な仕事。
重いけれどやりがいのある胚培養士。
この仕事のことを、自分の進路の一つとして想像しながら読んでもらえたらなぁと思います。
今後にも期待!!
というわけで、まだまだ始まったばかりの「胚培養士ミズイロ」ですが、「青年誌に不妊治療をテーマにした作品が」と連載開始から各種メディアで話題になっています。
というか、個人的には、ぜひとも地上波でドラマ化してほしい…!!
と切に願っております。
たくさんの人に知ってほしい胚培養士という仕事、そして「胚培養士ミズイロ」という漫画。
今後の展開に期待大です!!